2012年05月24日
開発教育を考える⑬
ベース オブ ピラミッド=Base of the pyramid(BOP)
所得別に人口を積み上げると、下から低所得者層、中間層、富裕層とちょうどピラミッドのように積みあがることから、この低所得者層を指してBOP(ベース オブ ピラミッド)と呼びます。国際金融公社(IFC)と世界資源研究所(WRI)は2007年に、年間所得が3000US$未満をBOPと定義しました。この定義でいくと、BOP層の人口は約40億になります。購買力から考えた市場規模は約5兆ドルで日本1国にも相当します。それだけ経済的にも見込みのある市場、ということでBOPビジネスが脚光を浴びているのです。
世界的に有名なBOPビジネスの取り組みはユニリーバのBOPアプローチです。
プロジェクト・シャクティ(インドなど)
インドでは、衛生的な生活習慣や環境がないために、多くの子どもたちが下痢や肺炎にかかって命を失っています。石鹸を使った手洗いは、子どもたちの命を守る簡単で効果的な方法のひとつです。しかし、インドの農村部には1日2ドル以下の収入で暮らしている方が多く、都市部と同じ価格の石鹸は買っていただくことができません。また、店舗がないため、石鹸を売る手段もありませんでした。
そこで、ユニリーバでは、石鹸を「サシェ」と呼ばれる小分けパックにすることで、単価を1ルピー(約2.5円)と、お求めやすい価格にしました。そして、農村部の女性たちに会計などの知識やスキルを身につけて個人事業主になっていただき、サシェ製品を訪問販売していただいています。2010年までに4万5,000人以上の女性が個人事業主になり、10万の村で300万世帯にユニリーバの製品を届けています。現在、バングラデシュ、スリランカ、ベトナムにも取り組みを広げ、2015年までに女性人事業主を7万5,000人に増やすことをめざしています。
このプロジェクトは、石鹸の普及によるコミュニティの衛生状態の改善、女性たちの経済的・精神的自立、ユニリーバのビジネスの成長という3つの目的を同時に満たした、BOP(ベース・オブ・ピラミッド)ビジネスの先進的な事例として、国際的にも高い評価を受けています。(ユニリーバ・ジャパンのHPより抜粋)
BOPビジネスが是か非か、判断は難しいところだと思います。ただ、BOPビジネスの場合、企業だけでなく開発援助機関やNGO団体などが提携して事業にあたることが多いようです。今まで、貧困ゆえに経済活動の枠組みの外側に取り残されていた人々が、職を得、またものを買うことができるようになるということは、貧困から生まれる格差を解消するための1つの手段となりうるのではないかと考えます。フェアトレードが開発途上国から世界に向けての経済活動の発信だとすれば、BOPビジネスは先進国や先進企業から開発途上国への働きかけといえるのかも知れません。ただ、こうした流れによって低所得者層といわれる人たちが、さらに搾取されることのないよう願っています。
BOPについては日本ではまだまだ周知不足、勉強不足の感があります。開発教育の分野でも、BOPという言葉を手掛かりに格差について考えていけたらいいなと思っています。キーワードから世界を考える、という取り組みもまた1つの国際理解だと思います
所得別に人口を積み上げると、下から低所得者層、中間層、富裕層とちょうどピラミッドのように積みあがることから、この低所得者層を指してBOP(ベース オブ ピラミッド)と呼びます。国際金融公社(IFC)と世界資源研究所(WRI)は2007年に、年間所得が3000US$未満をBOPと定義しました。この定義でいくと、BOP層の人口は約40億になります。購買力から考えた市場規模は約5兆ドルで日本1国にも相当します。それだけ経済的にも見込みのある市場、ということでBOPビジネスが脚光を浴びているのです。
世界的に有名なBOPビジネスの取り組みはユニリーバのBOPアプローチです。
プロジェクト・シャクティ(インドなど)
インドでは、衛生的な生活習慣や環境がないために、多くの子どもたちが下痢や肺炎にかかって命を失っています。石鹸を使った手洗いは、子どもたちの命を守る簡単で効果的な方法のひとつです。しかし、インドの農村部には1日2ドル以下の収入で暮らしている方が多く、都市部と同じ価格の石鹸は買っていただくことができません。また、店舗がないため、石鹸を売る手段もありませんでした。
そこで、ユニリーバでは、石鹸を「サシェ」と呼ばれる小分けパックにすることで、単価を1ルピー(約2.5円)と、お求めやすい価格にしました。そして、農村部の女性たちに会計などの知識やスキルを身につけて個人事業主になっていただき、サシェ製品を訪問販売していただいています。2010年までに4万5,000人以上の女性が個人事業主になり、10万の村で300万世帯にユニリーバの製品を届けています。現在、バングラデシュ、スリランカ、ベトナムにも取り組みを広げ、2015年までに女性人事業主を7万5,000人に増やすことをめざしています。
このプロジェクトは、石鹸の普及によるコミュニティの衛生状態の改善、女性たちの経済的・精神的自立、ユニリーバのビジネスの成長という3つの目的を同時に満たした、BOP(ベース・オブ・ピラミッド)ビジネスの先進的な事例として、国際的にも高い評価を受けています。(ユニリーバ・ジャパンのHPより抜粋)
BOPビジネスが是か非か、判断は難しいところだと思います。ただ、BOPビジネスの場合、企業だけでなく開発援助機関やNGO団体などが提携して事業にあたることが多いようです。今まで、貧困ゆえに経済活動の枠組みの外側に取り残されていた人々が、職を得、またものを買うことができるようになるということは、貧困から生まれる格差を解消するための1つの手段となりうるのではないかと考えます。フェアトレードが開発途上国から世界に向けての経済活動の発信だとすれば、BOPビジネスは先進国や先進企業から開発途上国への働きかけといえるのかも知れません。ただ、こうした流れによって低所得者層といわれる人たちが、さらに搾取されることのないよう願っています。
BOPについては日本ではまだまだ周知不足、勉強不足の感があります。開発教育の分野でも、BOPという言葉を手掛かりに格差について考えていけたらいいなと思っています。キーワードから世界を考える、という取り組みもまた1つの国際理解だと思います

Posted byワクらぼat19:59
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